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執筆者の写真Yoshi Kawano

「基礎から学ぶ顕微鏡光学系実習OPT2023 ~きいて、みて、さわって!原理から学ぶ光学顕微鏡~」に見学参加しました!

 みなさん、こんにちは、2023年11月21日に岡崎市の基礎生物学研究所で開催された「基礎から学ぶ顕微鏡光学系実習OPT2023」に参加してきました。


 このワークショップは、ハンズオン中心のコースで、実際に顕微鏡を組み立てながら顕微鏡の原理や特徴を学ぶことができるコースです。受講者は、能動的に機材を触って、組み立てて、また、講師と対話をすることで学べるアクティブラーニング形式のワークショップでした。参加者のみなさんは、楽しみながら、体験しながら、顕微鏡の基礎を学ばれていました!


顕微鏡組み立て実習の前に講師の先生が、実習の説明をされているところ
顕微鏡組み立て実習の前の講義

(写真1)顕微鏡組み立て実習の前に講師の先生が、これから行う実習の説明をされているところです。参加者は院生から准教授と様々な方がいらしてました。皆さん、これから始める顕微鏡の組み立て実習の進め方の話を熱心に聞かれていました。



 私もこのワークショップを訪問するまで、岡崎の基礎生物学研究所に、こんなに素晴らしい顕微鏡が学べるコースがあるなんて知りませんでした。本ワークショップ主催の、素晴らしい講師の先生方との出会いも良い思い出となりました。今日は本コースのエッセンスをお伝えしようと思います。


光学顕微鏡を聞いて、見て、さわって、感じることができるワークショップ


今回のワークショップは、基礎生物学研究所の亀井保博先生が主催されています。亀井先生との出会とこのコースの参加で、私の顕微鏡への興味を再びよみがえらせてくれました。亀井先生からは、顕微鏡の構造を知ることで、顕微鏡の原理や特徴を理解しやすくなるとお聞きしました。私もこれまで長く顕微鏡の世界に携わっていましたが、実際に顕微鏡の組み立てを近くで見るのは久々で、非常に興味深い経験をさせて頂きました。また、本コースで、ケーラー照明やコンデンサーレンズの重要性についても学ぶことができるなんて、このコースの見学は、まさに光学顕微鏡の奥深さを体験できる絶好のチャンスでした!



実習では、実際に顕微鏡の組み立てを行います。1つのグループに1~2名のアシスタント講師が付き添い、受講者の支援を行います
顕微鏡組み立て後、珪藻標本を使って像を確認

(写真2)実習では、実際に顕微鏡の組み立てを行います。1つのグループに1~2名のアシスタント講師が付き添われていました。受講者の方は、いろいろな疑問が湧いたら、その場で直接講師に質問されていました。



過去の思い出と現在がつながる瞬間


 今日聞いた、このクリティカル照明とケーラー照明の話は、昔どこかで聞いたように思いました。この話は、1997年にMarine Biological Laboratory(MBL)のマイクロスコピーコースに参加したときの懐かしい思い出を、甦らせてくれました。(このコースは現在も継続して行われています。)あの時も、様々な顕微鏡の話を聞くことで、顕微鏡の奥深い世界に魅了させられました。


 ところで、話はOPT2023に戻ります。私もこれまで知りませんでしたが、米国まで行かずとも、岡崎のOPT2023に行けば、顕微鏡の使い方や原理についてハンズオンを通して学べるということが分かりました。これは素晴らしいことですね。



クリティカル照明の構成および原理を講師が行っているところです。
クリティカル照明の構成と原理の説明

(写真3)クリティカル照明の構成および原理を講師が行っているところです。この説明の後に、受講者は実際にクリティカル照明をセットします。ここでは、受講者は、光源の像を直接標本に投影するように照明系をセットして、その時の像を確認します。光源の光を直接標本面に投影すると明るい照明ができますが、光源に輝度の空間的な分布があると、標本の像に照明ムラが表れてしまい、均一な照明になりません。これを実験で確認します。


ケーラー照明について講師から説明を行った後に、受講者は、実際にケーラー照明を組み立てます。
ケーラー照明について講師からの説明

(写真4)ケーラー照明について講師から説明を行った後に、受講者は、実際にケーラー照明を組み立てます。ケーラー照明のセットでは、標本面上で光源の像が無限遠に投影されるように照明レンズを配置します。この設定にすることで、非常にムラの少ない照明が構成できることを実習で確認します。


実際に顕微鏡を組み立て、珪藻標本を使って像を確認しているところです。受講者は、照明系をケーラー照明にして、ムラのない均一な照明が得られることを確認します。また、受講者は、照明の開口絞りの径を変化させることで照明のNAを変化させて、像の解像度がどのように変化するかを確認しています。顕微鏡の画像は、カメラで撮像を行いPCモニターから確認します。
珪藻標本を使ってケーラー照明の像を確認

(写真5)実際に顕微鏡を組み立て、珪藻標本を使って像を確認しているところです。受講者は、照明系をケーラー照明にして、ムラのない均一な照明が得られることを確認します。また、受講者は、照明の開口絞りの径を変化させることで照明のNAを変化させて、像の解像度がどのように変化するかを確認しています。顕微鏡の画像は、カメラで撮像を行いPCモニターから確認します。



顕微鏡技術の驚異的な進化


顕微鏡の歴史は400年以上あると信じられていますが、このように長い歴史があるにも関わらず、近年、顕微鏡の観察技術は目覚ましい進化を遂げています。ライブセルイメージングや3Dイメージング、さらには超解像顕微鏡など、これらの技術により、私たちの目には見えない微細な世界(生体内の微細構造や分子動態の観察、微小環境測定)が、可能になりました。



本ワークショップを主催されています亀井先生が受講者に光学系の説明を行っているところです。受講者はアドバイスを聞きながら、光学系の組み立てを行っています。
ワークショップ主催者の亀井先生が受講者に光学系を説明

(写真6)本ワークショップを主催されています亀井先生が受講者に光学系の説明を行っているところです。受講者はアドバイスを聞きながら、光学系の組み立てを行っています。



顕微鏡の性能を出し切って使うには顕微鏡の構造を知ること


 近年様々な顕微鏡観察方法が開発され使われるようになりましたが、これらの技術を駆使するためには、顕微鏡の基礎知識が必要不可欠です。例えば、超解像の顕微鏡を購入しましたが、顕微鏡のセットアップを間違えていると、ぼやけた画像で超解像を得ようとすることになります。これでは光学分解能の何分の1の解像度を有する超解像顕微鏡の性能を出すことはできません。しかしながら、顕微鏡の基礎知識を取得していれば、このような思わぬ落とし穴に落ちずに顕微鏡を使うことができます。顕微鏡の性能を出し切って画像やデータを取得できれば、その結果、信頼性の高い研究結果を得ることができるようになります。

 このように、顕微鏡の正しい使い方と原理の理解は高い研究成果を出すための、一つの鍵になる可能性があるのです。また更に、理解不足によるデータの誤解釈のリスクについても、顕微鏡の原理や特徴を知っておけば、回避できる可能性が高まります。



受講者は、明視野観察の実習が終わったら、蛍光顕微鏡に使われている、励起フィルター、ダイクロマチックミラー、吸収フィルターの役割を学びます。そして、受講者自らが、これらの部品を蛍光キューブに取り付け、更に蛍光キューブを蛍光顕微鏡に取りつけます。
蛍光顕微鏡の組み立て

(写真7)受講者は、明視野観察の実習が終わったら、蛍光顕微鏡に使われている、励起フィルター、ダイクロマチックミラー、吸収フィルターの役割を学びます。そして、受講者自らが、これらの部品を蛍光キューブに取り付け、更に蛍光キューブを蛍光顕微鏡に取りつけます。このようにして自ら落射蛍光顕微鏡を構築し、蛍光標本の観察の準備を行います。



蛍光顕微鏡を組み立ててみよう


みなさんは、蛍光顕微鏡を実際にラボで使われていますか? 蛍光顕微鏡は、細胞内にある遺伝子、タンパク質やイオンなどの測定に多く利用されています。特に蛍光顕微鏡は、蛍光タグとモノクロナール抗体を使って、特定のたんぱく質の局在を調べるためによく使われています。研究のキーになる情報を蛍光顕微鏡から得る場合が多いですが、その構造を理解して使われていますか? 本ワークショップでは、明視野顕微鏡の組み立ての次に、蛍光顕微鏡の組み立てにチャレンジします。実際に顕微鏡に取りついている蛍光キューブの中の構造はどのようになっているでしょうか? 実際に、自分で励起フィルター、ダイクロマチックミラー、吸収フィルターを確認して、蛍光キューブに付属しているフィルターはどのようなものか知ることができます。


実際に落射蛍光顕微鏡が構築できたら、次は、部屋を暗くして、蛍光標本を使って蛍光像の観察を行います。
落射蛍光顕微鏡が構築できたら蛍光標本を観察

(写真8)実際に落射蛍光顕微鏡が構築できたら、次は、部屋を暗くして、蛍光標本を使って蛍光像の観察を行います。



OPT2024も開催予定、来年度も期待大!


今回、私は1日の見学でしたが、久々に顕微鏡の世界に触れることができて、非常に楽しい時間を過ごさせて頂きました。この見学記を読んで、興味を持った皆さんは、ぜひOPT2024に参加してみてください。顕微鏡の基礎を学べば、落とし穴にはまることなく、顕微鏡のパフォーマンスを出し切って高解像の顕微鏡画像が取得できるようなると思います。


本ワークショップの共催のソーラボジャパン株式会社、基礎生物学研究所などの皆様、貴重な見学の機会をありがとうございました。亀井先生をはじめ、関わった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。


自分も来年は、是非このコースに参加して、さらなる知識を深めたい!と思いました!アカデミア所属の方で、参加ご希望の方は以下にコンタクトしてみてください。最新のワークショップの情報が得られます。


【本ワークショップの最新の情報】


OPTに関する最新の情報は以下のページをご覧ください。





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